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             *(写真は無許可での使用はできません)

「天の川の中の軍艦島」

三年越しの望みが叶い天の川の中に軍艦島を撮ることができました

 

戦後のエネルギッシュなノスタルジックを感じさせる遺産だけでなく

戦争中に起きた数々の負の遺産を後世にしっかりと伝え そこから多くを学び子孫の幸福のために生かさなければなりません。そのため一日でも早く世界遺産になることを願っております。

 

 軍艦島それはそれは廃墟になった今でも何かを訴えてくるすごい迫力の島です。写真や映像でも惹きつけられますが、本物を目にした途端何か大きなものが私に迫りました

 

少しですが写真で紹介いたします

 

地元長崎新聞に掲載
地元長崎新聞に掲載
船からの軍艦島(北東)
船からの軍艦島(北東)
軍艦島(全景)
軍艦島(全景)

(今回の撮影では赤道儀は全てアイベルCD-1を使用)

日の入りの軍艦島
日の入りの軍艦島

「旧野首教会と天の川」(野崎島五島列島)が特別賞

 昨年9月24日に撮影した「野首教会と天の川」の写真が10月5日の朝日新聞に掲載されましたが、2011年度の年間審査で審査員特別賞に選ばれ、改めて1月31日の朝日新聞朝刊(全国版)で紹介されました。この教会を撮影した理由を記しておきます。

 

 はじめの出会いは「心にのこる風景」というようなタイトルのNHKの番組があり、日本各地のいろいろな風景が登場した中で 今は無人島になっている野崎島のレンガ造りの教会が紹介されていました。その時なぜか惹かれるものを感じたのがきっかけになり、野崎島のことを調べました。それ以来撮影のチャンスを待ち続けていました。そして3年越しにやっと機会が参りました。(この写真はすでにこのホームページのギャラリーで見れます)

 

       「野崎島から学んだこと」(佐々木 隆)

 

 明治6年、キリスト教の禁令が解かれ宗教活動ができるようになる。カトリックの信者は300年もの弾圧に耐え抜き、教会を建てられるようにはなった。しかし、そのような財力はなかった。それまで、キリシタンは五島の島々に逃れ、隠れるように暮らし、命をつなぐだけでやっとであった。島の暮らしは艱難辛苦を極めるものだった。

 

 野崎島には17世帯のキリシタンがおり、はじめ木造の教会を造ったようである。小さな教会でも大きな声で賛美歌を歌えるようになった喜びの大きさは想像に難くない。

 

 その後、他の島では大きな教会を建て、司祭を迎え儀式が行われていることを聞くにつれ、野崎でもそれを考えるようになった。しかし、生きるにやっとの暮らしにはまだ高嶺の花であった。皆で隣の島の富豪に借金を頼んだが、「邪宗の教会建設などもっての外」と一蹴された。そこで、17世帯は協力して自力で資金を作ることにした。先ずは共同生活を始め無駄を省いた。そして、現金収入が望めるきびなご漁をはじめた。信仰への強い想いがなければあり得ない生活であったろう。

 

 このことはかえってそこには喜びも悲しみも共にできるという、人間としての深い感性を味わう場が与えられたことになる。そして、ついに極貧を喜びに変え、堂々たる天主堂が建つのである。明治41年のことである。当時では珍しいレンガ造りの美しい教会であった。その時の人々の喜びが如何ばかりだったであろう。17世帯が心を一つにして苦労を共にできた喜びは立派な教会を得たことより遥かに大きいことが想像できる。

 

 その後、時がたち時代は島から人々を遠ざけた。昭和46年、最後の信者が島を後にして教会は無人化した。たくさんの思い出とレンガの教会が残った。島を去る時の人々の思いは如何ばかりであったことか

 

 私はこれらの事を知りたいへん感動した。そして、天の川の中にこの教会を入れて撮りたいと心に決めた。キリスト教の信者にはもしかすると天の川が天国への道のように見えるのではないかと思った。そして、この島を離れなければならなかった方々は島に大切な思い出を残しているに違いない。教会が天の川に守られているような写真が撮れないものかと思案してきた。それが可能であれば、旧島民の方々に喜んで頂けると考えた。私は「地球生命は大宇宙の中にあり、銀河の中で生かされている」このことを多くの人がいつも心に留め置いて頂ければと思い、撮影を続けている。

 

 野崎島のキリシタンの人々は仲間を信じ神を信じた。人は宗教に限らず信じるものを持った時、計り知れない力を発揮し、同時に深い喜びを味わう。喜びを共有する仲間がいる時その喜びはさらに大きなものとなり、まさに宇宙的な広がりを持つように思われる。これらのことは今災害で苦しんでおられるたくさんの方々にも通じることではないかと考えるのである

旧野首教会と天の川(朝日新聞掲載)
旧野首教会と天の川(朝日新聞掲載)

  

       「旧野首教会と天の川」撮影の経緯と記録

 

 以前よりこの歴史的にも重要な文化財、キリシタンの思いが実を結んだこの美しい教会を天の川を背景に撮影する機会を伺っていた。日本で銀河の中心方向を入れて撮りたいとき、そして夜の浅い時間帯に撮ろうと思えば7月~9月の時期になる。しかしこの時期は天気が安定しにくく、例え晴れていても水蒸気が多く透明感のある星空は望みにくい。さらに月の影響を計算に入れるとそれらの条件だけでも3年に一度くらいの確率と思われる。自分の都合が入ってくるとさらに確率が下がる。ゆえに私は撮りたいものが3年に一回撮れれば有難いと思っている。今回やっと好機が訪れ念願が叶った。9月24日の20:30だった。平戸島から船をお願いして往復一時間半滞在2時間という奇跡的なタイミングであった。私の写真の中でも下見もなく一回のチャンスで撮れた珍しいケースだった。教会の思いと私の思いが一致したのだと考えたいものである。本当に感謝である。

 最近デジタルの進歩で高感度撮影が可能になって赤道儀が無くとも天の川は撮影できるようになっている。しかし、私は今のところ赤道儀を使用しできるだけ低感度で撮るようにしている。それはやはり画質にこだわるためである。

 撮影に当たりいつも多くの方々にお世話になっております。今回は平原先生、同行して頂いた大町先生、丸銀のみなさん、有難うございました。 

 

 撮影データ カメラ:フジS5pro  レンズ:トキナー11-16mm F2.8

                     露出:106秒 ISO:500  赤道儀:TOASTpro 1/2速度